あおきDIARY

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田畑喜八先生の言葉に思うこと

Mar 24, 2020, 11:09:50 AM

先日、あおきセレクションの商品で京友禅作家・五代目田畑喜八さんの訪問着を目にする機会がありました。重要文化財の慶長小袖を思わせる、古典的なのだけれど何ともモダンな構図と色使い、金彩などの細工も巧みな、思わずため息が出てしまう繊細かつ豪胆な逸品でした。

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同じ頃、ご来店頂きましたお客さまから田畑先生のお話をうかがう事ができました。どちらかの催事に出品なさっていた折にお話されたそうですが、作品の素晴らしさはもとより、とても気さくで楽しい方だったとの事。いろいろとお話が弾み、心からファンになってしまったと仰られておりました。

高名な作家さんは人としても魅力的な方が多いですが、果たして田畑先生、どんな方なのかしら,,,,,と思っていたら、偶然にも先生が紹介された記事に遭遇しました!

そこで、先生の人物像を探ってみますと・・・

*プロフィール
1935年京都生まれ。
早稲田大学卒、京都市立美術大学日本画家修了。
1985年イタリアでの本染織作品展開催。
1995年、五代目田畑喜八襲名。
日本伝統工芸士会会長、日本染織作家協会理事長。
<ウィキ調べ>

田畑家は江戸の文政期から200年続く名家ですが、最初から京友禅の染屋ではなく、代々日本画家を目指して来られたとのこと。初代は滋賀から画家になるため京都へ出て、それでけでは生活できないというので、染織業に就かれたそうです。人間国宝となられた三代目は上村松園と同門で、先生のご尊父である四代目は西山翠嶂から日本画を学んだといいます。

四代目は厳しい方で、その父を師に、大学卒業後から家業に就いた先生は格闘の日々だったとか。まだ20代の血気盛んな頃はよくご尊父と喧嘩されたそうですが、そのスパルタが今日の技術と美意識を生んだと先生は述懐されています。

こうした田畑家の美意識は、お客さまの呼び方である「華主」という言葉にも表れています。同家の考えは『着物や帯が主人公であってはならない、着物をお召になる女性すべてが主人公』というもの。この華主という言葉は先生もいろいろお調べになったそうですが、他にはどこにも残っていない、田畑家のオリジナルなのだそうです。

そして、その美の演出は着物や帯だけでは完成しない。帯、帯揚げ、毛髪の色など全体への気配りと、さらに ”とどめ” は口紅の色!口紅の色をきちんと見立てないと、高価な着物も帯も無駄になるといい、先生は現代の美意識や流行色を知るため、今もデパートへ行ったら必ず化粧品売場へ直行するのだそうです。

田畑家に脈々と受け継がれてれきた美意識と技術。それを携えつつ、先生はさらなる前進を続けておられます。廃れゆく伝統産業の行方を懸念しながらも『生活の中にさらなる潤いや楽しさ、豊かさを与える現代に既往したものづくりに徹していかないといけない』と仰います。

『ええもんができたと思っても、バカもん!こんなもんで満足するな!と声が聞こえる。』

『美に対して貪欲であれ。際限はない。まるで宇宙のようなもんや。』

『年寄りぶったらあかん。私には、まだまだやるべき事がある。死ぬまで勉強せぇちゅうことですわ。』

インタビュー記事にもこうした言葉が並ぶ、エネルギッシュでストレートな物言いが魅力的な田畑先生なのです。

きものを作る人、きものを着る人、そして着物の背景は素晴らしい!

私たち青木スタッフも、お客様を「華主」としてお迎えし、その装いのお手伝いをさせて頂ければと心から思う次第です。

銀座店スタッフ 松浦

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*参考文献&引用出典
「凄腕職人街 職人たちの想い 京友禅 五代・田畑喜八」ウェブサイト記事 https://sugoude.inuiyosuke.jp
「京都で育まれてきた日本の伝統と文化の真髄」京都新聞出版センター刊

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